hwakのトリビアルな雑記集

初めまして、個人研究者のhwakです。個人的に量子アルゴリズムの研究をしております。

2024-04-18から1日間の記事一覧

マヨラナ粒子とトポロジカル量子計算

今回は、マヨラナ粒子とトポロジカル計算について解説します。マヨラナ粒子はマイクロソフトが量子計算機における量子ビットとして研究しているものでしたが、今年その根拠となる論文が誤りであることが発覚しました。それから論文撤回が相次いで、悪名高い…

Varitional Quantum State Eigensolverを用いたフルポテンシャル計算

今回は、「 世界一わかりやすいVariational Quantum State Eigensolver(VQSE)【実践編】 」の続きとして、Varitional Quantum State Eigensolver(VQSE)[1]を利用した水素分子のフルポテンシャルを計算しました。前回と同様に、基底関数はSTO-3G、回路の深さ…

世界一わかりやすいVariational Quantum State Eigensolver(VQSE)【実践編】

この記事は、前回「世界一わかりやすいVariational Quantum State Eigensolver(VQSE)【理論編】」の続きです。 世界一わかりやすいVariational Quantum State Eigensolver(VQSE)【理論編】 | 今回、VQSE法[1]を用いてblueqat SDKで水素分子における基底状態…

世界一わかりやすいVariational Quantum State Eigensolver(VQSE)【理論編】

2020年4月にロスアラモス研究所のグループが新しい変分量子アルゴリズムを提案しました[1]。 このアルゴリズムは、エネルギー固有値ではなく、ハミルトニアンと密度演算子の積における期待値を最小化することで、全固有値と固有状態を計算するアルゴリズムで…

量子シミュレーションとその動向

量子シミュレーションについえ正確にご存知でしょうか。これは広義には量子系における時間発展をシミュレーションすることですが、今日、万能ゲート型量子計算器の発展によってその状況は複雑化しつつあります。現在、この手法は次の3種類に分かれています。…

論文紹介:量子計算を用いた窒素固定の計算可能性

今回は、量子計算機を用いた高分子触媒系における現状での計算時間をまとめた論文を紹介します。この論文は特にFeMoCoという窒素固定におけるその時間発展過程を量子位相推定を用いて計算する場合における所要ゲート数、計算時間についてまとめたものです。F…

初めまして、個人研究者のhwakです

初めまして、個人研究者のhwakです。 私は個人的に量子アルゴリズムの研究をしておりまして、論文も幸いなことに何本か書かせて頂いております。 この度以前 blueqat 社に書かせて頂いていた量子計算分野における量子計算アルゴリズムとその実装、量子計算の…

量子可積分系

今回は可積分系、特に量子可積分系の話をします。可積分系というのは積分、微分、変数変換、微分方程式を解く、四則演算を組み合わせて解け、完全積分可能な全微分方程式で表せる系のことです[1]。このような系においては要素数が増えるほどに保存則を表す式…

ジョセフソン素子を用いた人工ブラックホール

今回は、つい最近出た量子電子回路を用いたホーキング輻射1*の再現結果を説明します。これは、ジョセフソン素子を用いて回路上にポテンシャルを用いた擬似的なシュバルツシルト半径2*を作り出すことで、光子がそこから逃げられない状況を作り出し、そこから…

論文紹介:変分量子計算を利用したたんぱく質折り畳み問題

今回は新種の変分量子計算を利用したたんぱく質折り畳み問題を解く方法を紹介する論文です。この論文はアンジオテンシンという一次元の9つのタンパク質分子が連なった鎖として表せる薬剤における最適な折りたたみ方をConditional Value-at-Risk Variational …

世界一簡単な時間結晶の理論

今回は時間結晶(タイムクリスタル)の説明をします。これは空間方向ではなく時間方向に離散的な並進・回転操作によって一定の単位構造によって系全体を埋められる系のことです。結晶というのは、単位構造に対して並進操作、回転操作を有限あるいは無限回繰り…