hwakのトリビアルな雑記集

初めまして、個人研究者のhwakです。個人的に量子アルゴリズムの研究をしております。

量子位相推定とその注意点・後編

この記事では、前回に引き続き量子位相推定の性能とその限界を論じます。今回t=10、n=4として、Uを掛ける回路のトロッター展開深さは10としblueqatを用いてシミュレーションしました。STO-3G基底における水素分子のハミルトニアンにおける量子位相推定における計算結果とその厳密解の一部を図1に示します。残念ながら位相を確定した後にエネルギー固有値と一緒に表示する機能は実装されていないため、固有値のみです。基底状態は含まれず、三重項と基底状態と三重項の間の二重項状態、一重項状態のみが出ました。望みの精度は出ましたが、これだけのことに21時間要しました。計算のテクニックか、あるいはマシンの限界か、いずれにせよ、まだこれをシミュレーションするのは早そうです。

図1 求めた16のエネルギー準位とその厳密解との差、その精度。

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